現在、新型コロナウィルスの影響で、理事会や総会が延期となり思うように管理組合活動ができていないマンションが多いようです。意識の高く、管理会社の変更や管理委託費の見直しをしたいが、仕方なく先送りをしている理事長からの相談も多くあります。
さて、管理員や清掃員の人件費についてですが、一昨年以上に進んでおります。
人件費の値上の要因としては
①最低賃金の値上
参考:東京都の最低賃金
2011年 837円
2012年 850円
2013年 869円
2014年 888円
2015年 907円
2016年 932円
2017年 958円
2018年 985円
2019年 1,013円
2020年 1,013円
2021年 1,041円(10月1日より)
最低賃金が10年で200円(約20%)上昇しており一定の値上は理解できます。
②年代的な人材不足
昭和22年~23年生まれの第一次ベビーブームの世代が70歳を越え、定年後に
管理員や清掃員となるなり手が不足しています。
③オリンピック需要による人材不足
オリンピックの警備、スタッフまたはボランティア等に人材が流れてしまった為の人材不足
④新型コロナウィルスによる退職
新型コロナウィルスの感染を懸念して、管理員または清掃員を辞職する方もいらっしゃるとの報告も受けています。
⑤人材募集広告費の費用増加
上記の要因から人材が集まらずに、募集広告を広範囲・長期的に掲載することとなり、募集広告費が増加している。
上記の5つの要因から管理員や清掃員の人件費が高騰が続いています。
管理員や清掃員の時給も含め待遇が良くなり、良い人材が集まることは管理組合にとっても良い事ですが、その時給が額面通りではなく、管理会社とその下請け会社の経費が入ってから管理委託費として管理組合に請求が来ることになり、実際に管理員に支払う時給から4割~6割増となっています。
直近の管理員募集広告(東京都)を見てみると時給が1100円~1500円の幅があります。
実際には、時給+交通費+福利厚生費+備品(制服等)が実費となり、そこに管理会社の利益を乗せると、1600円~2200円の管理委託費になるようです。
管理員のなり手には地域差もあり、東京都の中心部や湾岸地区はなり手がいないと言われ、遠方から通勤を余儀なくされ時給も高くないと人員が集まらず、交通費もかかるようです。
ただし、地域によっては募集時の時給や応募期間、交通費等が異なりますので、管理会社の一律の値上要請(人員不足や時給の高騰などの理由をつけての要請)については、状況をよく聞いてから受け入れることをお勧めします。